Colorbathが2012年から取り組む「DOTS」は、日本とネパール・マラウイの3か国をつなぐオンライン交流プログラムです。
未知なる国とのつながりを通して、子どもたちのみえる世界をひろげ、新たな一歩を踏み出すきっかけづくりをしています。
Colorbathは、カリキュラムづくりから当日の通訳、事後の振り返りまで、細やかな対話を大切にして授業実践者である先生をサポート。

また、交流の様子をホームページのレポートとして公開、出会いの数だけ異なる魅力が光るDOTSの様子を記録してきました。

一方で、2022年9月から開始した「DOTSセミナー」企画のように、DOTSに携わる先生方のチャレンジを後押しすること、先生同士がつながることができるコミュニティづくりもおこなっています。
そこで、毎回一人の先生をお招きして、DOTSと出会ったきっかけ、ご自身のチャレンジ、考え方の変化などについて語っていただくインタビュー企画を始動しました!

今回お話を聞いたのは、諏訪市立城南小学校横内先生

2021年、インターネットを通じてお会いして以来、ネパール・マラウイとのWeb交流・ネパールコーヒーの販売体験などなど、Colorbathの持つリソースをフル活用してカリキュラム作りに取り組まれています。

これまでの道のりと、横内先生の想いについてお聞きしました。

横内先生(諏訪市立城南小学校)
小学校教諭。総合の時間において独自にDOTSを取り入れている。マラウイ、ネパールの両国との交流を去年から行い、今年はSDGsをテーマにした授業の一環で、Colorbathの行うネパールコーヒープロジェクトを絡めてフェアトレードについての学習も進めている。城南フェス(文化祭)にて担当クラスの子どもたちとネパールコーヒーを販売。大好評となった。

「子どもたちに自分を表現できるようになってもらいたい」

横内先生とColorbathの出会いのきっかけは、「総合的な探求の時間」でした。

1年目、2年目は、お米づくりや畑づくりなど、「体を動かす活動」に取り組んでい
ました。3年目は、子どもたちに「自分のことを表現できるようになってほしい」と思い、世界のダンスを取り入れた学習を考えたんです。
その中で、海外の人は、身体表現が豊かだなぁという印象があって。
せっかく学ぶなら、オンラインでつないで、ダンスを披露したり、見せてもらったりすることができないかなと思い、探し始めたのがきっかけでした。

1回きりのイベントではなく、継続できる交流にしたかったという横内先生。

インターネットで調べている中で見つかったのが、ColorbathのWeb交流プログラム「DOTS」でした。

ホームページに、DOTSに関係するイベント(2021年10月に開催された「スタジオColorbath DOTS編が2日後に開催されると書いてあって。急いで問い合わせて、参加しました。
そこでは、(代表の)吉川さんが、DOTSの歴史や込めている想いについて熱く話していたり、実際にDOTSをみてきた学校の先生の話が聞けたりして。
自分のやりたいことに合致しているな、と感じることができました。

(下から2番目が横内先生)

スタジオColorbath終了後、改めてご連絡いただき、すぐにネパールと城南小をつないだ交流が実現。

まさに「自分を表現する」という言葉通り、子どもたちが空手やダンスを披露するなど、アクティブさが印象に残る交流になりました。

また、2022年度には、マラウイとの交流にも取り組んでいます。

小さな「きっかけ」が、もっと知りたい!意欲につながる。

城南小とネパール・マラウイの交流の様子は、Colorbathのホームページにもレポートとして公開。

「自分たちの姿が載っているのがうれしい!」と、城南小の生徒たちもよく見てくれていたそうです。その中で、Colorbathがネパールで取り組む「持続可能なコーヒープロジェクト」に興味を持ってくれたことをきっかけに、まずはスタッフの那波多目がネパールとコーヒーについて講話を行いました。

その後、

「コーヒーがどうやって作られるか知らないから、フライパンで焙煎体験をしてみよう!」

「学校の文化祭でコーヒーを販売しよう。ふつうのコーヒーとは違って値段が高めだから、説明できるように動画やポスターを作成しよう」

と、どんどん学びが広がっていきました。

SDGsってよく聞くし、学校でもリサイクル活動などをするけれど、自分としてもあまりピンとは来ていないなと。
子どもに理解させたいというわけではないですが、そういった活動に「自然と協力したい」と思うような経験、今のめり込まなくても、後々になって思い出せるような経験をつくれたらいいなと思います。

今回の活動を通して手応えを感じた場面については、

ただ座っているのとは違って、一人ひとりに関わるきっかけ・チャンスがある。それをきっかけに理解が深まるというのは、いいなと思いました。
たとえば、これまで交流にはあまり前のめりでなかった子が、得意のイラストを活かしてポップ作りに参加して、コーヒーにも少しずつ興味を持ってくれたのが、印象的でしたね。

ネパールのコーヒーは、有志のクラスが参加する文化祭「城南フェス」で、保護者の方や地域の方々に販売。

1番の目標を「Colorbathの活動やフェアトレードについて知ってもらうこと」としていたこどもたちは、「どうしてフェアトレードについて活動しているの?」といった質問に、一生懸命に回答しながら、理解を深めていました。

今後は、より自分たちの生活に近いフェアトレードについても扱っていきたいです。フェアトレードマークがついている商品をただ買うだけではなくて、そのマークをどこが発行しているのか、なぜ発行されているのか、知るのも大切ですよね。
また、同じようにフェアトレードな取り組みから生まれているチョコレートなども一緒に、今度はより一般の人が来るような場所でも販売活動ができたらいいなと思っています。

【まとめ】「DOTS」のネットワークの中で

Colorbathとの出会いのきっかけとなった、世界のダンスをつかった学び。その中で感じた難しさについて、横内先生はこう話していました。

たとえば、子どもたちが憧れを持つヒップホップやブレイキン。ちょうどキャンプがあったので、ジェンカやマイムマイムなどの民族の踊りも取り入れたのですが、その後の「深めるプロセス」をつくるのが難しかったです。
先生と生徒ではどうしても年齢差もあり、興味を持つポイントも違う。
その中で、自然と「知りたい。深掘りたい。」と思ってもらうには、どうすればいいのだろうと考えていました。

そして、DOTSをはじめたあとのこと。

同じくオンライン交流に取り組んでいる、山口市柚野木小学校勝間田先生からメールで、こんなアドバイスを受け取ったそうです。

(自治体の枠を超えて、交流が続いている柚野木小学校と城南小学校。9月には、オンライン交流も行われました。)

子どもが何を感じるか、何を考えるか。
それは子どもに任せて、まずは自分自身が、子どもたちと一緒に何をやりたいのかを考えることが大切。というアドバイスをもらいました。
考えるだけではなく、まずは動いてみることが大切だな、と思っています。

2021年から、横内先生の挑戦に伴走させていただいてきた私たち。

「DOTS」を実施するだけにとどまらず、ホームページのレポートを交流の振り返りに活用したり、コーヒープロジェクトにも興味を持ってくださったりと、たくさんの学びのサイクルを生み出していく姿に刺激をもらってきました。

そして10月には、先生同士がDOTSをきっかけにアイデアや経験、想いをシェアしていく取り組み「DOTSセミナー」第1回にも登壇していただき、横内先生の熱意がシェアされていく様子を感じています。

これからも、一緒にたくさんの挑戦をしていけたら嬉しいです。

▼Colorbathでは毎月、DOTSに関わる先生方と一緒に「DOTSセミナー〜世界とつながる教室のつくり方」というイベントを開催しています。

「生徒たちのみえる世界を少しでも広げるきっかけをつくりたい!」
そんな思いをもった先生方が全国から参加してくださっています。
普段はあまり交流する機会のない他校の先生と、現場で直面している悩みをできたり、他校の先生の取り組みに刺激をもらったり、そんな素敵なつながりが生まれる場となっています。

興味のある方は、ぜひご参加ください*

(聞き手:小野寺あすか 執筆:櫻井かおり)