神奈川県武山支援学校とネパールやマラウイとのオンライン交流「DOTS」の実施は今年度で2年目になります。
昨年度は、マラウイ・ウォンガニ先生との初めてな海外オンライン交流から、ネパール・サンスカールの生徒も交えてラジオ体操を通してつながるというDOTSを実施してきました。
▼過去の取り組みについては以下の記事からご覧ください。
2年目となる今年度、新たに武山支援の生徒さんたちがDOTSを通してどのような交流を行ったのか、紹介していきます*
同世代だからこそ、「友達になる」をゴールにしたい
「今年度の交流は、合計3回の実施で生徒たちがより密に相手とコミュニケーションがとれるように、小集団でのオンライン交流にトライしてみたいんです*」
昨年度の振り返りを経て、2024年の新学期が始まった春頃、担当のまさや先生からメッセージをもらいました。
昨年度の実施では、武山支援学校のクラス約20名が全員一緒にマラウイやネパールとの交流を行いました。自己紹介したり、ラジオ体操を教えてみたりと、言葉だけじゃないコミュニケーションのやりとりを生徒さんだけでなく、武山支援の先生方にも一緒に楽しんでもらえるような時間となりました。
その中で、今回はより「友達になる」をテーマに、ネパール・サンスカール学校との交流を深めていくことに。
日本側の生徒は1チーム10名弱で3つのグループに分かれ、45分授業を15ずつに区切り、各チーム15分で交流を回していく、というスタイルに挑戦しました。
もちろん、ネパール側も3チームのメンバーは固定。1チーム3〜4名で構成してもらい、15分という短い時間ではありますが、より密なコミュニケーションをとれるような工夫をしつつ、同じ生徒同士が3回交流するという設計にしました。
前回の交流で言葉だけでないコミュニケーションの大切さに気づいたからこそ、今度は生徒さんそれぞれがその時に感じる疑問や興味関心に基づいてやりとりできるような時間にさせてみたい。そして、普段からも「ネパールの子」ではなく、「名前」を覚え、相手と呼び合うことで友達になっていくという実感を持たせたい。それが、まさや先生の想いだと受け取りました。

「名前」で呼ばれる「喜び」は世界共通
毎回の交流はネームプレートを使用した簡単な自己紹介からスタート。名前を伝えたあとは、生徒さんが先生と一緒に用意してきた質問や自分の好きなこと、趣味、得意なことなどを思い思いにネパールの生徒に伝えていきます。
交流の中では、武山支援の先生が生徒さんに「ネパールの料理でどれが食べてみたいですか?」と写真カードを用いながら聞いてくれて、それを指さして教えてくれる生徒さんの伝えたい想いを受け取り、「ネパール料理を食べるとしたらモモが食べてみたい!」と紹介してくれる生徒さんもいました。
これにはネパールの子たちも大喜び。「モモ食べるんだったらこのお店が美味しいよ!」とか、「実際に食べてほしいからネパールにおいでよ!」なんてコメントも飛び交う時間となりました。やっぱり、自分の国や自分自身が伝えたことに対して、相手も関心を持ってくれているんだ、と知ることができてとき、交流の中でも心と心が繋がっている瞬間だな〜と、私もやりとりを見ていて感じました。

また最後の交流の時間には、日本側から「名前当てクイズ」が開催されました!「私の名前はなんでしょう?」とネパール側にクイズっぽく呼びかけます。ネパールの子が「う〜〜〜ん><?」っと悩んでいると…すかさずネームプレートの名前がちらっと見えるようにヒントをくれる生徒さんと先生方。 それを見て、ネパールの子も必死に思い出し、名前を当てられることができた瞬間は両者ともに拍手喝采で大喜び!! ネパールの生徒も同様に、少しニヤつきながらも…「私の名前はなにか覚えてる?」と聞いているシーンは彼らの自然体の姿が現れていました。
残りの時間では、互いに聞きたいことを、名前を指名して質問しあいました。「〇〇ちゃんに質問です。私は日本のアニメだと〇〇が好きだけど…〇〇ちゃんは何が好きですか?」といったように、自分の話をしながらも、相手のことをより知ることのできる問いの投げかけ方をすることで、より話が膨らみ、心の距離が近づいている時間になっていました。
先生たちが楽しむことで、生徒もより楽しめる時間になっていく
今回、武山支援学校では、生徒同士が「友達になる」ということももちろんテーマとして掲げていましたが、もうひとつ私がお話しさせていただいていたことは「先生たちにも楽しんでもらう」ということです。
まさや先生とお話を深め、昨年度の交流について振り返り、今年度の話を進めていく中で…支援学校の交流では生徒さんに対する先生のサポートも重要になることがわかりました。一緒に参加できる機会だからこそ、「生徒さんのサポートして参加するだけでなく、先生にも楽しんでほしい」という想いは、どんな学校さんに対しても私がいつも感じていることです。
どうやったら先生自身も「楽しめる」ような時間にできるのか。先生の中にある些細な「不安」を共有してもらいながら、一緒によりよい時間をつくりあげるために、どんなことが私にできるのか。そんなことを私は微力ながら考えています。
結果的に、武山支援学校では、3つのチームに分け、それぞれにリーダー先生を任命しつつ、その先生と中心に15分という短い交流の中で何をしていくか、時間をとっていただき話しあい、進めてくださったとまさや先生から伺いました。
交流の回数を重ねるごとに、少しずつ海外とのオンライン交流のイメージが具体的に湧き上がっていく。そして、生徒さんの可能性を信じながら、「こんなこともできるんじゃない?」というアイデアが生まれていく機会になったこともまた、今回のDOTSでとても嬉しいなと感じた瞬間でした。

昨年度からのColorbathにとっての初めての挑戦を、武山支援学校の先生方とワンチームで楽しみながら、こうして作り上げてきたことに、感謝でいっぱいです。これからもたくさん学ばさせてもらいながら、いろんなトライを通して、子どもたちのセカイを広げていきたいとおもいます。
(Colorbathスタッフ:椎木)